大阪の建築設計事務所 基本フォルムのデザインする注文住宅 京都鳴滝の家:京都市,変形地,狭小住宅、風致地区、和風、工房。
 



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京都鳴滝の家―デッキと工房のある住まい(2008年)

昨年秋から工事をすすめてまいりました、木造の家が完成いたしました。
写真を一部ご紹介します。
 

全景



内観 奥は2畳の和室

概要  住居と工房
場所  京都市右京区
設計期間  2007年4月〜2007年9月
施工期間  2007年10月〜2008年6月
構造・規模  木造2階建
敷地面積  259u(78坪)
建築面積  75.05u(22.7坪)
述べ床面積  144.07u(43.58坪)


敷地は78坪と広めですが、変形地の上に風致地区規制がかかっており、屋根や壁の形状や色、敷地計画には厳しい制約がありました。写真を見るとゆとりがありそうですが、実際にはそれぞれの法規制に対してぎりぎりであわせていったなかに、快適な空間を作り出すという、他ではない設計の柔軟性が必要となります。

右は中庭夕景です。

写真はまた順次まとめてレイアウトしていこうと思います。

   

 

ここからは工事の様子です。

 

 

 

地業工事の様子。

地盤調査により一部軟弱であることが判り、表層地盤改良を施しました。

その上に防湿シートを敷き基礎工事の下地をつくります。


 

遣り方の様子。

建物の位置を正確に確定するために水糸を張っています。宙に張り巡らされたグリッドはいつ見ても凛とした心持になります。
手前に深基礎の基礎配筋と型枠が見えています。


 

鉄筋を組む。

この建物はべた基礎です。
構造計算により鉄筋の量が算出されています。


 

基礎工事の完了。

コンクリートはセメントの比率を高めに設定し、強度と耐久性を高くしています。(水セメント比55%、呼び強度30N/mm2の結果が出ています)



 

プレカットの様子。

現場で基礎工事を進める間に、プレカット工場では柱や梁などといった構造材の加工が行われています。機械で加工できない形状は職人さんが手加工します。檜、杉、集成材など適材適所で材料が構成されています。柱はすべて120o角とし、住宅としては骨太の設計です。


 

建て方の様子。

基礎の強度が発現し、木材の加工が完了するといよいよ建て方です。工事中盤のクライマックスであり、建築が立ち上がるもっともダイナミックな瞬間です。


 

工事は3日ほどかかります。
まず、土台を設置し、次に通し柱、管柱、胴差、2階床梁、最後に2階柱梁、小屋組へと進みます。これは2日目の写真です。


 

いの一番柱

敷地の一番奥に位置し、最初に建てられる柱。
設計図上も「い」通り、@通りと設定。(いろは・・・、@AB・・・と番号が続く)

 

2階の小屋組みが建てられていく様子。

写真の部分は2階の子供室です。間口が1間しかありません。小さな部屋ですが京都のお寺を見て廻り、実際に大きさを確認しながら決めていきました。

 

足場の上から眺める紅葉。

京都はこの11月中旬は紅葉のピークで、木々がとても美しい季節です。敷地のすぐ隣が雑木林で目の前に山桜の紅葉が見られました。

 

小屋組みがどんどんすすむ。

軸組みの構成がやや複雑に絡むので20分の1の模型をつくり、間違いのないよう何度も打合せを重ねました。

     
 

登り梁の取り付けがほぼ完了する。

2階から眺めるとほぼ狙い通りの眺望が得られました。
この家は100年ぐらいは平気で持つように構造体の強度には力を入れました。

もう一息。




建て方完了。

3日目の夕方、ようやく最後の登り梁が取り付けられました。

構造体の立ち並ぶ様は、周囲の紅葉の中にすがすがしく美しいものです。

このあとお施主さんご一家ならびに工事関係者一同により上棟式が執り行われ、無事建て方を終えることができたことへの感謝とこれからの工事の無事を祈りました。

 

 

12月中旬。京都は紅葉も終わりかけです。

この日は施主さんと一緒に下賀茂神社近くの瓦屋さんの作業をお見学にうかがいました。写真は糺の森(ただすのもり)を通り抜けたときのものです。

小雨の降る参道はしっとりとした良い趣をかもしだしていました。

 


 

瓦屋さんは雨の日に屋内作業をするのが効率がよいとのこと。


 

軒瓦の微調整

この鳴滝の家に使用する瓦は一文字瓦といって軒先の平らなものを使います。

ぴったり重ね合わせられるようにするためには一枚一枚削って微調整しなければなりません。

普段あまり見られる作業でもないですので職人さんに無理を言って見学させてもらいました。


 

グラインダーで削っているところ。

けっこうな埃が舞うので職人さんも完全防備です。この家では170枚ほどの瓦にこの加工を施します。


 

一区切りついたところ。

4枚一組として、それぞれに番号を振り、現場へ搬入します。


拡大。

この加工を施すことでようやく隣り合わせの瓦がぴったりと収まります。削った面も微妙に面取りをして手で触った感じも滑らかです。
奥行き方向にも実は調整が行われています。

きょうび大変な手間ですが、焼き物である瓦はそれぞれにクセがあり、どうしても狂いが生じてしまうものなのだそうです。それを完全に合わせるには手作業になるのだそうです。

瓦屋さんおじゃましました。現場作業でもまたよろしくお願いします。
 


 

瓦葺きに先立ってルーフィングという防水用のシートを敷きこみます。

この下には通気層といって常に空気が通り抜けるための隙間が設けられており、熱や湿気が屋根裏にこもらない仕組みになっています。


 

きれいに瓦が葺かれたところ。

いぶし銀のシブい光沢がとてもかっこいいです。
瓦の屋根はやってみると結構気持ちが落ち着きます。


 

屋根の通気層の取り込み口。

軒先に一本隙間が通っていますがここから空気が吸い込まれて棟に昇っていきます。棟のノシ瓦に排気口が仕込まれていてそこから空気が抜ける仕組みです。


 

壁の通気層

壁にも通気層があります。軒裏で空気が抜けるようになっています。


 

サッシも取り付く。

写真は2階の連窓です。
風致地区規制ではアルミサッシはブロンズ色か黒と決められています。


 

間仕切り壁の下地

外部と平行して内部の工事も進みます。
真壁造りなので化粧柱があります。工事中にキズが付かないように青いカバーが掛けられています。


 

床下をみたところ。

断熱材と束が見えます。断熱材はグラスウールです。最近あまり評判はよくないですが、それだけに商品開発はがんばっていて、施工性やコストパフォーマンスに優れています。撥水処理がされており、弱点であった湿気にも強くなっています。
奥のほうに基礎パッキンによるスリットが見えます。
基礎スラブには水勾配を取ったりと水・湿気対策には念を入れました。束には狂いの生じない鋼製束を使用しています。

2007年もいよいよ過ぎていきます。


 

2008年2月

1月は怒涛のように過ぎ去っていきました。
現場も造作を作り込んでいく段階になっています。

工場で製材された材料が現場に搬入されています。これが窓枠や建具枠になっていきます。


 

床下を這う配管類

写真は給排水です。温水床暖房もありますのでさらに配管は増えます。それをうまく隠すようにルートが工夫されています。写真も多めに撮ってメンテナンスに対応できるようにしています。


 

エアコンの冷媒管

エアコンの室外機は外部のあまり目立たない部分に設置するため、配管を天井裏に隠せるように仕込んでいきます。将来の配管のやり替えをするときのために予備のスリーブ(貫通管)もあらかじめ設置しておきます。


 

窓枠の造作

これは2階の子供室の高窓です。
主に明かり取りに使われるためはめ殺しとなっています。道に面していてファサードの表情を作っていくデザインの要素でもあります。


 

床板が張られてきました。

ここは居間の板の間です。ムクのナラ材をつかいます。自然塗料を塗ることで、手触り感のよさと調湿作用を期待します。


 

この家には2畳の和室があります。
コンパクトで茶室のような風合いが出るといいなと考えています。
天井からランプを吊り下げますが、メーカー品では思ったようなものが無く、いろいろ店をあたってみた挙句最後はYAHOOオークションで手に入れました。

真ん中か、右のものがよさそうです。お施主様の了解を得て決めようと思っています。


 

この時期はサンプルのチェックがかなり多くなっています。

これは土間の塗り見本です。
素材は色モルタルですが、なるべく本来の三和土(たたき)に近い風合いになるように検討が行われています。

2月は逃げるように過ぎていきました。


 

いろんな要素が絡みあう部屋については模型をつくり、立体的に内部仕上げの検討ができるようにしました。

これは1階のLDKです。
左奥に見えるのが2畳の和室です。


 

玄関庇を上から見たところ。隠し樋から直接下の水受けに注ぎ落とす形状です。
板金の色は風致規制で決められています。


 

和室の窓枠が出来てきました。
高さも座って丁度良いように低く抑えています。


 


洗面や浴室は天井壁ともヒノキのムク板を使いました。


 

風呂場です。
窓からはベランダ越しに山並みが眺められます。
壁に張られたフィルムは防湿用で、その上にヒノキ板を貼ります。


 

作業場
温水床暖房が敷き込まれています。


 

はめ殺しの窓にペアガラスがつきました。


 

浴室
壁面と天井にヒノキ板が張り付けられました。
洗い場と浴槽はハーフユニットバスを使いコストを抑えました。


 

ダイニング天井吹き抜けを見上げる。
上はユーティリティーで室内物干し場です。
床が格子になっています。


 

作業場
掃き出し窓の上部に「ミニチュアの斗組」が取り付きます。その型板を現場で合わせつつお施主様と製作業者さんが打合せをされています。



 

外壁
ラスモルタルのラス(金網)が取り付けられました。


 

春です。
敷地の隣が雑木林で山桜が満開でした。
ソメイヨシノとは違う風情があります。


 

外壁のラスにモルタルが塗られました。
下塗、中塗り、上塗りと手間がかかります。


 

二畳の和室の天井。
竿縁天井です。真ん中のランプは仮設電球です。ここへ先日ネットオークションで入手したランプを取り付けます。こういう天井を見上げてボーと時を過ごすのもいいものではないでしょうか。


 

作業場の天井。
こちらはお寺の格天井をモチーフにしています。
ここへお施主様により、彩色が施されます。


 

子供室3の窓。
上にはスリット窓、下は正方形の押し出し窓です。これが街路に表情を与えます。


 

外壁の塗装
リシンという塗料を吹き付けます。
色は風致地区規制に沿って薄茶色です。
1階はその上から杉板を貼ります。


 

外壁の色が付いてようやく全体のイメージが確認できるようになって来ました。軒裏の白ととのぼり梁の木の色と外壁、瓦のいぶし銀がなかなか落ち着いたいい雰囲気を生んでいます。


 

足場が取り払われました。
1階外壁に板が取り付けられています。


 

作業室内部。
塗装工事のためビニールで養生されています。
壁の向こうは階段です。丸窓が一つ開けられています。


 

丸窓とエアコン隠し
丸窓はお子さんが階段の上り下りの際に作業室の様子をを覗き込めるためにつけられました。
その上の格子の中にエアコンが取り付けられます。


 

基礎の一部は立ち上がりが低いので、水が回り込まないようにU字溝を張り巡らせます。今は漉き取られて地面が低いですが、U字溝の天が最終的な高さになります。U字溝は玉石で隠すことになっています。


 

外観が出来ました。
2階のスリット窓や板壁の意匠はうまくまとまったかなと思っています。


 

バルコニーです。
この建物には横格子を随所にあしらっています。
このデザインモチーフは風致規制にはなじまないようで、外壁や、開口部は竪格子はOKでも横格子はNGだそうです。バルコニーなので許可が下りています。


 

塀です
このあたりは伝統的なモチーフを使わなければなりません。こちらとしてもその経験を楽しんでいます。


 

木製建具
22条地域なので延焼の恐れのある部分はこういう木製建具は使えません。
写真はガラスがまだはめられていない枠だけの状態です。レールにはまるよう調整を待っています。


 

作業場前のデッキを大工さんが作っているところ。写真は束石を敷き並べているところです。


 

キッチンが入りました。
お施主様と色々パターンを検討してこの位置に決まりました。アイランドにするか対面にするかという選択肢以外に、裏庭とのつながりやお子さん達がどうやったら家事に参加しやすいか方法を考えた結果です。


 

駐車場スロープのコンクリートを打設しています。


 

打設後、すべり止めに丸い型で三つ葉模様をつけます。この家には全体的に植物のイメージがあります。



 

スロープが完成しました。


 

内部の建具もほぼ完成しました。


 

庭のデッキもほぼ完成しました。

 

 
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